こんにちは、ナレッジ推進室、漢方養生スタイリスト「福田 貴之」です。
8月が終わると「秋」が訪れる。
何年か前まではそう思っていました。
しかしここ最近は今年も9月に入ろうとするのに、まだまだ暑い日が続きますよね。
2024年の「白露(はくろ)」は9月8日から21日ごろまでをいいます。
白露(はくろ)とは、夜中に大気が冷え、早朝に草木の先や花に露(つゆ)が結び、白く光って見え、日中の暑さも和らぎはじめ、だんだんと秋の気配が深まっていくことを意味しています。
まだまだ「湿邪(しつじゃ)」「暑邪(しょじゃ)」「火邪(かじゃ)」の養生(過去のコラムを確認ください)で良いと思いますが暦では初秋ですので9月の養生についてお話ししましょう。
古典の書である「黄帝内経(こうていだいけい)」では、秋になるとすべてのもののかた(容)が定まる(平)ことから、秋の3か月のことを「容平(ようへい)」といい、秋の養生について次のように記載されています。
「この季節には、鶏の寝起きのように、早く寝て早く起きることであり、心を安らかにして、悔やまず精神を落ち着かせて、秋の氣が身体を損なうことのないようにし、やたらと動きまわって、肺を冷やさないようにします。これが秋の季節に調和した養生法であります。
もし、養生法に逆らって、秋の冷えにあたり肺を冷やしたりすると肺を損傷し、冬になって食物を消化しきれずに下痢をしたりします。」
といわれています。
また、秋は春と違って完成させる、整理する時季とされ、なにかこの時季に物事を始めてしまうと「肺」を傷めるといわれています。
秋の氣である「肺」は身体を冷やし、身体の乾燥を助長させることで、肌トラブルや風邪を引くなど「燥邪(そうじゃ)」が顔を出してきます。
では「燥邪(そうじゃ)」から守るにはどのような養生が必要でしょうか?
「陽」※1から「陰」※2に向かっている秋は激しい運動はしないように注意しましょう。
冬に向けて体力を温存しておきたい時季でもありますので適度に運動するのは良いですが、良い意味で頑張りすぎないように注意しましょう。
※1「陽」は活動的・熱性で積極性
※2「陰」は非活動的で寒性で消極性
食べ物についてはもちろん「旬」の食材を積極的に食べることが一番の食養生に繋がります。
9月の食養生はどんな食材を摂れば養生につながるのでしょうか。
まず9月は先ほども記載しましたが、「陽」から「陰」へ移り変わる時季です。
「陰」と「氣」を取り入れる食材を意識して摂りましょう。
「陰」は血液や体液、栄養のことをいいます。
「陰」が足りない「陰虚(いんきょ)」の状態になると、めまい、かすみ目、のどが渇く、空咳がでるなどの症状があらわれます。
「陰虚」の場合は、身体を熱くさせる辛い物や、熱い食材は避け、身体の火照りを冷まし潤いを与える食材を選びましょう。
秋に入るとみずみずしい果物やまだまだ夏野菜が売られています。
スイカやぶどう、梨などのフルーツやきゅうり、トマト、ゴーヤなどの夏野菜を活用して身体を潤わせ、熱をさげましょう。
そして「氣」が弱まるこの時季は「氣虚(ききょ)」とよばれエネルギー不足の状態です。
疲れやすく、風邪を引きやすくなりますので栄養のあるものを食するためにも胃腸にとって消化の良い食材を摂ることが大事です。
しかし栄養を取るために沢山食事を摂っても吸収されなければ意味がありません。
胃の調子を見て、胃の調子が悪いと感じた時は胃を休める食材を摂取し、胃を休めてあげましょう。
食物繊維の多い食材や脂っこい食事は胃の負担が大きくなりますので避けるようにして、スープにしたり、食材を細かく刻んだり、良く煮込むなどして胃の負担を減らしてあげましょう。
お腹が空いていないのであれば無理に摂らずに抜いてあげることも胃の為には良いと思います。
胃が十分休まれば、栄養を取り入れる準備が整います。
元気の源である炭水化物を取り入れて氣を補いましょう。
氣を補う食材である穀物類(白米・玄米など)は柔らかく炊き、おかゆにしてあげると胃の負担が少なくなり栄養を吸収しやすくなります。
イモ類も良い食材ではありますが、できればスープなどにして食べると負担を軽減することができます。
またキノコ類も氣を補う食材として優秀ですので秋の味覚としても、氣を補う食材としても上手に活用してあげましょう。
胃を休めていない時のイモ類やキノコ類は食物繊維を多く含む食材もありますので、胃の調子を見てから摂るようにすると負担が少なくなると思います。
まだまだ暑い日は続きそうですが、気づいたら気温や湿度が下がって、肌の調子が悪いことが予想されます。
9月に入ったら8月の身体と肌の疲れを労わることを意識して少しだけゆっくりしてみませんか。
以上です。
本日もお読みいただきありがとうございました。
ナレッジ推進室 漢方養生スタイリスト福田 貴之でした。