現在、世界情勢はかなり緊迫しています。
日々報じられるニュースを見ていると世界平和って夢のまた夢なのかと悲しく思うこともあります。
どこに平和な世界への戸口があるのでしょうね。
さて、
最近1匹のニホンザルのベビーが話題になっています。
場所は千葉県。
市川市にある市川動植物園に昨年7月にニホンザルの赤ちゃんが生まれました。
母猿はこどもを産んですぐ育児放棄をしました。
そこで飼育員さん達が親代わりになって小さな命を守って育ててきました。
3ヶ月を過ぎた頃、集団生活に慣れさせるためにさるの群れに戻すことになりました。
通常、子猿は母親にぴったりくっついて何年も守られて育ちます。
ところがパンチ(モンキーパンチから名付けられたそうです)は守ってくれるお母さんがいません。

飼育員さん達が事務所に飾ってあったオランウータンのぬいぐるみをお母さんの代わりに与えました。
すると、パンチはどこに行くにも、自分の体よりも何倍も大きいぬいぐるみを引きずっていくようになりました。
どこでいじめられてもオランウータンのぬいぐるみのところにかけ戻り守ってもらっていました。
ボスザルや先輩ザルに小突き回されたり、追いかけられたり.高いところから落とされたり…
すると、必死に逃げて、そのぬいぐるみまで戻りしがみつきます。
その姿が健気で可愛く見物客の心を捉えました。
その様子がSNSに投稿され、あっという間に拡散され、今まで1日600人しか来場者がなかった園に今では6,000人もの人がパンチ目当てに集まるのだそうです。
このニュースはあっという間に世界中に広がり、外国でもニュースで取り上げられるようになりました。
今、インバウンドのお客さんたちもパンチに会いに市川まで行っているそうです。
パンチも今では生後8ヶ月を超え、体もだんだん大きくなり、小猿の仲間も増え、味方になってくれるおさるさんも増えてきました。
もうオランウータンを引きずって飛び回る彼の姿はなくなりました。
でも未だに3時におやつを配ってくれる2人の飼育員さん達には、姿を見つけると走りよって、足や背中に乗って一緒に行動しています。
まるで彼らがパンチのお父さん役のようです。
かくいう私も毎日のように流れてくる“今日のパンチ”動画に癒されたり、考えさせられたりしています。
育児放棄をした母猿の例は、他にもたくさんあるのでしょう。
でも、人々がこのニュースに、なぜこんなにも心を奪われるのかと私なりに考えてみました…

最初はただただ可愛いなぁ、けなげだなぁ、母親がいないと寂しいなぁ、かわいそうだなぁ。
逃げないでよく頑張ってるなぁという思いでしたが、たくさん流れてくる動画を見ていると、彼が稀な存在に思えてきました。
特別な遺伝子を持っているかのように見えてきました。
一言で言えば「平和な遺伝子」を持っているのではないかなと思ってしまうのです。
彼はどんなに邪険にされても、突き落とされても、小突き回されても相手に仕返しはしません。
その代わり逃げ足は早いです。
そして拒絶された相手にも時を経てまた近寄っていくのです。
通常私たち人間はいじめられたり、嫌な思いをさせられた相手からは逃げよう、避けようとする心理が働くのですが、パンチにはそれは全く感じられません。
まるで嫌な思いは記憶に残らないという特殊な性質を持っている気がするのです。
だからどんなに拒絶されてもまた後ろからそっと近づいたり、お腹を見せたり、“私は敵じゃないですよ”っていう態度を見せながら近寄っていきます。
最初は一匹の一才の女の子猿がパンチの味方になりました。
彼をかばい、他の猿からの攻撃から守り、背中に乗せたり、あるいは母親のように両手で抱きしめたりしながらそこに絆を作っていきました。
何があってもめげないパンチの姿に最初は邪険にしていたボスザルたちも、その無邪気な仕草には放っておけなくなって、今では自分の目の前で彼が餌を食べるのを守ったりして、まるであちこちに親ができたようなのです。
親代わりに猿の集団生活の知恵を教える猿の姿も見つけます。
ふと考えました。
私たち人間は嫌な思いをすると、それが記憶の底に残り、相手を避けたり相手を逆に攻撃したりと行動を起こしますが、嫌な思いをしたことを全て忘れるという能力があれば、また新たな思いでチャンスを待ってそういう人に近づいていけるのだと思います。
最近では、大人の猿同士の小競り合いがあったり、喧嘩をしたりすると遠くにいたパンチがすぐに駆け寄りその争いの中に身を呈して”仲良くしようよ”というエネルギーをいっぱい出しているのです。
群れの中で1番小さなパンチが何倍もある大人の猿たちの間に入っていく様子は驚きです。
とばっちりを受けて、自分が飛ばされたりすることもありますが、それでもめげません。
つまり、彼の頭の中には平和に仲良く暮らすこと以外は無いのだと思います。

そして彼は近づいていくときに、相手の目を見てしっかり訴えているようなのです。(野生の猿は通常相手の目を見て近づいていく事はしないと誰かが言っていました)
しかし人間に育てられた彼は相手を見て、親愛の情を表しているようにも見えます。
小さな子ザルが両足で立って、大きな顔の前に顔を突き出してコミュニケーションをとってる姿は本当に可愛いものです。
彼は今ではもう自由に遊び自由に仲間と触れ合っていますが、時折二足歩行で餌の植物を持って走り回ったりしてる姿はなんとも微笑ましいものです。
純粋な無邪気な彼の姿にはっとしました。
私たちは大人になればなるほど、余計に相手の思いを考え、そして自分の行動範囲を狭めているのではないでしょうか。
彼が大人になってきたら、このブームもSNSも静かになることでしょう。
でもこのけなげな成長していく過程に私たちはいろいろなことに気づき学べるのではないかなと思い今でもパンチウォッチを続けています。笑
今の社会情勢、どうやって解決していいかみんな悩んでいると思います。闘いではなくて対話という事はわかるのですが、それをどうやってやるか…ですよね。こちらが弱みを見せたら、相手がもっと強く出てくるでしょうし、傷つけられたメンツは報復しないと癒されないのかもしれません。
でも私たち人間は本来ならみんな穏やかに平和に平安な世界で住むことができるということを思い出させてくれるそのきっかけがパンチの日ごろの行動じゃないかなと私は思っています。
パンチは恐れを持っていません。
恐れの感情で自分の行動が制限されることもないようです。
過酷な競争社会で生き馬の目を抜くような緊張感の中、みんなが動けない時に、もしも小さな子が武器も何も持たずに丸腰で、ニコニコしながらよちよちとその真ん中に入っていったとき、どうなるでしょう?
今まで相手を倒すことに一生懸命だった大人たちは戦意を失って何か狐につままれたような感じになるでしょう。
それがまさに無敵です。
無敵とはどんな敵と戦っても勝つこと…ではなく、その人の前に武器を持って立ったときに、なぜか相手から出ている愛の波動で、その武器をポロンと落としてしまうようなそういう力のことを無敵というのです。
まさにパンチは無敵の波長を持っています。
そういう生き方をしたいと思いました。
2026.4.8
お釈迦様のお誕生日に
Romi