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  • 中野 裕弓

浜辺の足跡

10代の終わりに初めて日本を出てイギリスに渡りました。
今からもう50年以上も前のことですから、海外に若い女性が1人で行くのは大冒険でした。

イギリス人の家族で共に生活をし子どもたちの面倒を見ながら、午後は語学の学校に通う毎日。

はじめての外国、それも旅行ではなく長期の海外生活、はじめて家族を離れて他人の家でのホームステイ、まして英語もうまく話せませんでしたからそれはそれは心細かったです。
毎日気を張って生活していたものの、誰も頼る人がいない孤独にうちのめされそうな時もありました。

ある日、近くに教会を見つけお祈りをしようと足を踏み入れました。
私はクリスチャンの学校に通っていたので教会にはなじみがありました。
そこで少しばかり心の安らぎを取り戻すことができました。

教会の地下にあった売店で私は一枚のはがきに出会いました。
それには短い詩が書いてあり、その後の私の人生を共に伴走してくれることになる大切な一枚になりました。

FOOT PRINT 足跡

マーガレットパワーズさんが書かれた有名な詩でした。
これを読んだとき、異国で孤独と緊張でいっぱいいっぱいだった私の心に“大丈夫”というあたたかい思いがこみ上げてきました。

日本に帰ってから訳をつけてみました。
今ではきれいな絵描きを作ってお友達に差し上げています。

〜 浜辺の足跡 〜

ある日 わたしは夢を見ました
浜辺を神と共に歩いている夢を

海の向こうの大空には
わたしの今までの人生の光景が
はっきりと映し出され
どの光景の前にも
浜辺を歩いている神とわたしの
2組の足跡がありました

最後の光景まで来たとき
振り返ってみると
ところどころ
足跡がひとつしかないことに
気づきました

そしてそれはいつも
わたしが苦境に落ちて
悲しみに打ちひしがれているときでした

わたしは勇気を出して神に尋ねました
「神様、いつもわたしのそばにいてくださると約束されたのに
どうしてわたしを見放されたのですか」

神は答えておっしゃいました。

「私の大切ないとしい子よ
私は決してあなたのそばを離れたことはない

あなたが見たひとつの足跡…
それは
苦しみや悲しみに傷ついた
あなたを
そっと抱き上げ 歩いた
私の足跡なのだ」と

by M.Powers
H.Nakano 訳

今でも、この詩を読むたびに心の中にあったかいものが流れます。
ときには涙が出てきます。

辛いときには1人で頑張らなくていいのです。
そんな時は神様に抱っこして歩いてもらいましょう。

時には
何か大いなるものに全てを委ねて人生を歩むこともできるということを思い出してくださいね。

2025.9.17
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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