Language

メニューを閉じる
  • 中野 裕弓

起こる出来事には、全て意味がある

夏の思い出…といえば
2006年から9年間、毎年夏に2泊3日の“現役高校生サマーセミナー”を主催していました。

主に神奈川県小田原での開催。
「人間力を培う」というテーマで、2泊3日、参加費用はゼロ。
とにかく開催地の駅まで自力で来てくださいというものでした。

そもそもこれを開催するに至った理由は、、、(2006年当時)

“これからは時代が大きく変わっていく。今までの大人の私たちの理解や常識で若い人たちと対応することは難しい。そうだとしたら若者が今、どんなことを考えているのかもっと知りたい”
という素朴な想いからでした。

全国に不登校、通学困難者、引きこもりの若者たちが毎年増加していることもあり、その人たちにもなんとか繋がれないかと考えました。

ところが私や身近には子育て経験者や専門家はおらず、若者に直接つながるルートはありません。

だとしたら全国にいる高校生に直接呼びかけて、同じ場所に集い同じ体験をして、その場で彼らの感じていることをつぶさに私たちも受け取りたいと思って企画したわけです。
初めは、長年のシリーズになるなんて考えてもいませんでした。

ですが2014年まで9回も続き、毎回30名、合計270名近い卒業生を送り出すことができました。

今から20年近くも前のことですから世界情勢も、社会状況も、IT環境も今とは全く違い、募集は私の講演会でのお知らせとホームページのみでした。

参加者の中には自分の地元を離れるのは今回が初めてという人もいましたから、あの参加高校生たちはずいぶん勇気があったなと思います。 

当初の費用は主催者が用意し、2年目はこのための資金集めのチャリティー講演会を何度か開きました。

それが、3回目になると、何か協力したいということで「ひと口スポンサー」制度ができ、資金が集まるようになりました。
終了後には、簡単なセミナーレポートと、定番「愛のコーヒーカップ」の小冊子をお返しにお送りしました。

まさにクラウドファンディングの原型のよう。
当時はこのシステムはまだ広まっていませんでしたから、思い出すと随分画期的な試みだったと思います。

未来の日本を担う若者たちを応援する大人たち…この絆が全国に広まっていきました。

さて、

⚫️最後の開催から10年の時を経て、この8月25日から第10回目の高校生サマーセミナーが東京八王子で開かれます。
主催は以前、高校生セミナーでスタッフを経験した参加高校生のお母様。
クラウドファンディングも成功し、後は実施を待つばかりです。

さて、ここからが今日の本題です⁈

先日、過去の卒業生たちが立ち上がり、第1期生の有志の呼びかけで初めてのOB会を開催。
懐かしい顔が集いました。

先日8月3日の記念すべき第一回は横浜みなとみらいの開港記念館にて。
当時のスタッフも合わせ、総勢17名が集まりました。
第1回目としてはちょうど良い人数だったと思います。

自己紹介や近況報告の後、主催者がワークショップ形式で当時の高校生サマーセミナーを思い出すようなブレインストーミングとプレゼンテーションが続きました。

あの当時、ティーンエイジャーだった参加者たちも今や30代。
お互い初めて顔を合わす人たちもいたにもかかわらず、会場は一瞬にして安心安全な暖かい波動で包まれました。

期は違えど同じ空気感の中で、3日間を過ごしたことのある人たちは自分のありのままを出し合うこと、分かち合うこと、共感すること、応援し合うことに躊躇がない。
高校生の頃のあの純粋なエネルギーが一瞬にして戻ってきました。
会場には心地よいエネルギーが溢れて愛が循環している感じがしました。
私もZoomの画面を通して感動を共有しました。

え?zoom?そうなんです!
このイベントを誰よりもとっても楽しみにしていたというのに、なんと私はコロナになった友人の濃厚接触者扱いになって、自宅で自主隔離せざるを得なくなりました。

とても残念!
でも、主催者がすぐにZoomのアイディアを下さってZoomを通して皆さんと交流することができました。

普通なら、こういう事態に
なんとアンラッキーなこと、サマーセミナーを始めた人して講演をするはずだった私が?参加できない?それもすぐ近くで開催をしてくれたというのに?

と思うのでしょうが、その時、私がすぐ思ったのは、

「起こる出来事は全てに意味がある」でした。
だから、私がその日リアルで参加しないことは意味があり、それによって、何かもっと大きな動きがあるはずなのです。
ミステリーの謎解きのような気がしました。

おまけに私は常日頃から「今後起きる出来事は全て魂の成長を促すことしか起きない」と信じきっているのですから強いものです(笑)

私の突発的な状況変化に対しても、彼らは臨機応変にそして軽やかに対応してくれました。

終了後頂いたOB会主催者Sさんのコメントを引用させていただきますね。

➖引用➖

今回、ロミさんが会場にリアルでいなかったからこそ、安易にロミさんに頼ることなく、参加者それぞれがロミさんの理念を考えながらプログラムを進めることができたように感じました。

また、幹事・幹事以外の参加者問わず多くのサポートがあり、安定したライブ配信やスムーズな進行が実現できました。

今回の企画は試練とも取れますが、結果として救いの方が大きかったように感じます。
これからも志のある方をこの「いい輪」に巻き込んでいきたいなと思います。

➖引用終わり➖

高校生サマーセミナーで初めて出会ったときの「教える人」vs 「教わる人」という関係性は、確実に同じ想いを持った「同士」に変化していました。それがとても心地よかったです。

あの頃の現役高校生は歳を重ねて”成長した”のではありません。
彼らは明らかに“進化して”いました。
これからの展開が楽しみです。

今回のことで私も大きな気づきがありました。

自分が始めたことにプライドを持ち、いつまでも創始者という特別なポジションにしがみつきたいという気持ちもわかる。
ですがこの時代、目まぐるしい変化にあらがうことなく、速やかに次の世代にバトンを渡し、自分は少し離れたオブザーバーの席で、後進を応援するのがスマートではないかと思いました。

皆様も健康には充分ご注意の程、夏を楽しんでくださいませ。

2024.8.9
Romi

SNSSHARE

この記事をシェアする

COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
続きを見る

19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

他のコラムニストを探す
中野 裕弓の記事
中野 裕弓の記事一覧へ