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  • 中野 裕弓

夏◇

 

今年「夏」と言う文字がなんだか涼しく感じます。
今年の日本は「酷暑」という言葉がぴったりですね。

今日は毎年夏に行っていた高校生サマーセミナーについての思い出話を書きたいと思います。

2005年から2014年までの9年間、
主に小田原の二宮尊徳記念館で(大阪、岡山開催もありました)
全国の高校生を募って2泊3日のサマーセミナーを開催していました。

ことのはじまりは、心友との何気ない会話、、、

「私が世界銀行を辞めて帰国した理由は、
日本の国づくりに参加したいと言うことだったのだけど、
これからの世界を担う若い人たちが今何を考えてるかを知りたい。
そして一緒に新しい世界を作っていきたい」

身近に若い人たちがいない環境だったので、どうしたら若者にアクセスできるか考えて、
それなら夏休みに全国の高校生に呼びかけて合宿でもしましょう〜と。

予算をざっくり100万円として試算してみると高校生30名、
大人のスタッフ15名で2泊3日の寝食と研修が賄えると計画しました。

初期スタッフたちはみんな手弁当で参加してくれ、
ボランティアで自分の専門分野を教えてくれました。
ありがたかったです。

募集は私のホームページと、各地での講演会内でのPRでした。

興味のある高校生は応募用紙と短い参加目的の作文を提出。
開催地までの各自の交通費をどうやって捻出するか、それも作文の課題に入っていました。
開催地まで辿りつけば後は全て無料です。

ところが無料で2泊3日の研修というのが反対に心配されて⁉︎
当初は30名集めるのに苦労しました。

確かに地方自治体や企業のスポンサーでも協賛でもないのに
1個人が勝手に「合宿やります」って言っているのですから参加する方も冒険だったと思います。笑

9年間 一環して力を入れていた内容は「人間力」。
学校では教えない人生にとって大切なこと3つ、これをテーマにしてやってきました。

Be happy 幸せに生きる

Relationship 人間関係構築

Financial stability 経済的安定

これらは私がアメリカにいた時に大切だと気づいたことでした。

● 現在では偏差値に一喜一憂し、確かに「幸せに生きる」なんて授業はありません。
でも、もし幸せという授業があれば、学校内でのいじめの体質も改善されるに違いありません。

● 人間関係にはコミニケーション能力が大事です。
人は1人で生きられないのですから、人が嫌いだから、怖いからと
家に引きこもって不自由にならないためにも
みんながお互いに手を差し伸べてつながることができる人になってほしいと思います。

● 学校を終えて社会に出る時、自分の好きなことの延長に生業・仕事を探し、喜びを持って働き、
その対価として経済的な自立を得る、そういう意識が高校生の頃から大事だと思うのです。

全国から夏の暑い時期に集まる高校生たちも大変だったと思います。
初めての環境、初めて出会う仲間、見知らぬ大人たち…考えてみれば勇気がある子供たちでした。

初めて飛行機に乗ってきた子、
海外赴任している親元から参加の子、
生活が厳しくて近所の大人から交通費を応援してもらった子、
たまたまネットを見ていてこのセミナーを知り夜行バスで駆けつけた子、
などなども。

住んでる土地も環境も全く違う30人が打ち解けるのに時間は必要ありませんでした。
「違いは力になる」を身をもって体験する機会がたくさんありました。

そこには安心と安全な場を作ったスタッフたちがいました。

協力してくれたスタッフにお願いした事はただ1つ
「全国から集まる高校生たちと同じ目線で上下の隔たりなく安心で安全な3日間過ごすこと」

到着当初は、乗り気じゃないという顔をした高校生たちも、
帰るときには「ロミさん、なんで3日なの、もっと長い合宿にして」「来年も参加したいけどダメなの?」

そして感想文には毎年こんなうれしい文章がありました。
「今まで生きてきた中で大人にあれこれ言われない日々を過ごしたのは初めてだった…」

サマーセミナーも回を重ねるうちにシステムがいろいろ整ってきました。

3年目からは1口5000円からのひと口スポンサーも募集しました。
そのお礼は「愛のコーヒーカップ」の小冊子とセミナーのレポート。

たくさんの方々にスポンサーとしてご参加いただいて皆さんと嬉しい体験を共有できて本当に幸せでした。
今で言うならまさにクラウドファンディングのはしりだったと思います。

全国の応援して下さる皆様のおかげで、各地のおいしい果物や名産が届き、毎回食卓はとても豊かでした。

志を同じくする人が自分のできる形で同じプロジェクトに参画すると言う
チームプレーの素晴らしさを体験し無限の可能性を感じました。

9年間でご縁のできた若者たちは270人余り。
今でもあちこちで連絡を取り合っているようです。
今はそれぞれの道でそれぞれの分野で、それぞれの土地で輝いていることでしょう。

最近OBたちから結婚の知らせが入るようになってきました。
Facebookで子供が生まれたニュースも入ってきます。あの高校生たちが、、⁉︎ 嬉しいですね。

あの暑い夏の日々が彼らの幸せな人生の礎の一部になったとしたらとても嬉しく思います。

9年間の高校生サマーセミナーの開催で私が学んだ事は…

1、自分が情熱を持ってやりたいと思った事は、規模が小さくてもまず自らスタートしてみること。

2、チームプロジェクトとして作り上げていくことの面白さ。一緒に関われる仲間がいてくれることの嬉しさ。

3、明るい未来を構築する基本的な考え方を若者たちとも共有できて、これからの方向性がはっきり見えたこと

4、使命感でも難しい理論でもなく、心から楽しいと思えることを追求する力、応援しあえる仲間達との化学反応…

とにかく楽しい思い出ばかり❣️

2014年の8月お盆の頃、最後のサマーセミナー9回目が無事終了しました。
開催前からなぜか9回目をもっていったんお休みにしましょうと仲間たちと決めていました。

小田原から帰って10日後、自宅近くで崩れました。青天の霹靂の脳内出血。
一瞬のうちに右半身麻痺になりました。
宇宙はまるで高校生サマーセミナーを終了する時を待っていてくれたかのようでした。

All is well.
すべて順調♪

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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