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  • 中野 裕弓

生きがいって?

「あなたにとって生きがいとはなんですか?」
こう問いかけられたらなんて答えますか?

⁃ 子どもや孫の成長?
⁃ 仕事や商売の発展?
⁃ 恵まれない人を助けること?
⁃ 保護犬、保護猫の世話?
⁃ 新しいプロジェクトの成功?
⁃ 資産を増やすこと?
⁃ 百名山を制覇すること?  
⁃ 部下が成長したとき?
⁃ 庭のお花を毎年キレイに咲かせること?
⁃ 自分の仕事が誰かの役に立った時?
⁃ 誰かに「ありがとう」と言われること?
⁃ 今年も美味しいお味噌ができたとき?

人によっていろいろあります。
日本では「生きがい」という言葉をよく聞きますよね。

辞書には:
生きがいとは「生きる価値」「生きる喜び」「生きる張り合い」を意味する言葉。
人がなぜ生きていくのか、何のために生きるのかという、人生の目的や意義、動機を見つけることを指す。

とはいえ、忙しい日常では改めてこれを自分に問いかけることはあまりないかもしれません。

私が「生きがい」について深く考えるきっかけは数年前、Netflixで「100歳まで生きる」というアメリカのドキュメンタリー番組を見たときです。

20数年前、アメリカの研究者で作家であるダンさんが当時の沖縄を旅して、人生を元気に謳歌する100歳以上のお年寄りが多いことに気づきました。

そういう方に出会うたびに、地図にブルーの点を書き込みました。
それがその後、世界で長寿地域を意味する「ブルーゾーン」の概念になりました。

当時の沖縄は、日本の中でも1番の長寿県でした。

ダンさんの研究結果によると、当時、沖縄の長寿の理由の1つとして「生きがい」(Ikigai)があると発表したのです。
他には薬効植物が多い、腹八分(Hara Hachibu)の習慣などもありました。

外国には生きがいにぴったり当てはまる言葉は無いと聞いて改めて驚きました。
確かに英語ではpurpose of life(人生の目的)という感じになってしまうのですね。

日本で使われる「生きがい」には、いくつかの要素があるといわれています。

それらは”やっていること”が

●得意なこと:
自分が得意なことや才能を活かすことで、充実感や自信を得る

●好きなこと:
趣味や興味のあることを楽しむことで、喜びや満足感を得ること  

●社会から求められること:
社会に貢献することで、社会的な役割を果たす
これが特に大きい要素だと思います。

●報酬や感謝:
自分の活動によって報酬や感謝を受け取ることで、モチベーションも高まる

ダンさんが出逢った当時の沖縄の元気なお年寄りたちにはこれらの要素が備わっており、特にいくつになっても社会の中で自分のいる場所があり、それを楽しんでいたのだと思います。

人の多い都会では独居老人も多く、他の人たちとのふれあいもあまりないまま社会での自分の居場所を失ってしまう人も多いのでしょう。

歳を重ねても趣味やボランティア活動を通じて、社会に貢献するところに満足感や張り合いがでるのですね。

高齢化社会においては、高齢者の「生きがい」を支えることが、社会全体の健康寿命の延伸につながると聞くといろいろ考えさせられます。

とはいえ「生きがい」とは急に生まれるものではなく、若い頃からどう生きるかを考えて、家族や友人や周りの人と接しているところから生まれてくるのだと思います。
 
子どもたちの大好きなアンパンマンの歌詞に
「なんのために生まれてなにをして生きるのか」という言葉がありますが、まさにあなたの生きがいは何なのかと問いかけているのですね。

それならばもしも、小学生の頃から「生きがい」についてのディスカッションや独自研究の時間があったとしたら、子どもなりに人生をもっと深く考えることになり、いじめや、差別や、搾取や不公平、暴力などから遠ざかると思いませんか。

これからりせら財団で関わっていくコミュニティー作りの中でも、人々がそれぞれの生きがいを見出すことができるような社会を作ることが肝になると思います。

「生きがい」には、正解・不正解はなく、固定されているわけでもなく人生の中でライフステージの推移や心境の変化などで常に変化し、成長していくものなのです。

ゆっくりお茶を飲みながら、今の私の生きがいは…と自分に問いかけてみるのもいいですね。

2025.6.17
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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