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  • 中野 裕弓

情報やモノの勧めかた

最近、健康を損ねて不安に思っている友人がいます。
それを聞いてご友人たちがいろいろアドバイスをしてくださるのだそうです。
ありがたいのだけれど、その中にちょっと気になる意見があって、悩ましいとおっしゃっていました。

それは「こういうものを使用したほうがいい」「これを服用した方が良い」とお勧めされたときのこと。

その方は長年の経験から「これが絶対に正しい」「これは本物」と信じているので熱量高く語ってくれるのですがその勢いにかえって気持ちがひいてしまったのだそう。

その上、すでにご本人がトライしていること、または検討している事柄に関して「それは効かない」「それはやめたほうがいい、結果が良くないから」。
極めつけは「そんなことしてたら命落とすわよ」??

自分の知っている情報、信じていること、あるいはその商品がいかに優れているかを伝えるのに、他の人やモノをけなしたり否定的なコメントをする必要は全くないと思います。

その人がトークの中で、競合商品などに対して否定的な言葉を使えば使うほど、せっかくの良い情報もなんだかお金のためのセールストークに見えてきて興醒めです。

熱心に勧めてくれる真意はどうにか友だちを助けたいと思う気持ちなのはわかるのですが、そういう情報を伝えるときの言葉は特に慎重に…

相手の気持ちに沿ってテンションも合わせて相手が安心できるように話をするのがポイントです。

特に健康に不安を持っている方には、まず相手をそのままリスペクトする気持ち、そして愛と思いやりの言葉が必要ですね。

愛を伝えるつもりが相手の不安が増すようなことになっては本末転倒です。

これでなければダメ!という固定観念から、いろいろあってそれぞれにいいところがあるとする“オープンマインドの姿勢”が大事です。

【マイお薬師さま】
私はこんなふうに考えます。
健康を損ねてしまった場合。
どんなに立派な医療プロフェッショナルや健康関連グッズよりも頼りにすべきはそれぞれの人の中にいる“マイお薬師さま”だと思うのです。(誰の中にもいるんですよ)
その人が心の中のお薬師さまと相談して、納得した治療法や健康法を選び、主体性を持って対応することが大事なポイントなのです。

〜〜〜

また商品を販売するネットワークビジネスに携わる人からはこんなご相談もありました。

「先輩たちは製品を熱心にお勧めするので売り上げに繋がります。私にも同じようなやり方を求めてきます。売り上げを伸ばしたいけれど、友達との付き合い方がなかなか難しいのです」

売り上げのことだけ考えていると
顧客に対してはアフターケアで面倒見よく接しても、そうでない人に対しては態度が違ってしまう。
多分それで友達のご縁も切れていってしまったのでは。

加えて今まで購入してくれた方が何らかの事情でそれを止めたいというとき「これを止めたら、せっかく今までやってきたことが全部水の泡になるわよ。もったいないでしょ」と継続を促すような強い言葉を使ってしまう。

もしも何らかの事情で購入続けられない場合にもその状況も理解する余裕も大事。「またいつでも再開できるのでお声をかけてくださいね」と言う形でお話しすれば友情にヒビが入ることもないでしょう。

〜〜〜

またお勧めしたいものに対して熱心にお誘いをしたときこそ、これだけの労力をかけたのだから、最後は契約まで取り付けたいと焦るセールス担当者もいます。

押しが強いセールスパーソンに対して、NOはなかなか言いにくいものです。
もしそこで契約してしまったら後できっと「買わされた」とか「契約に持ち込まれてしまった」と被害者意識になってしまうのではないでしょうか。
なぜならそこには本人の自由意思はどこにも入っていない感じだからです。

そうなるとせっかく良いもの、内容が充実してるもの、体に良い製品であっても、それを伝えてくれた人の押しの強さがそれを重たい波動に変えてしまうのですね。
それでは楽しく使うことができなくなったり心地よさを奪ってしまうなんて残念ですよね。

とはいえお仕事ですから、熱心にセールスして数字に繋げたい気持ちもわかります。
その人にはこういうアドバイスをしました、

時間をかけて、自社の製品がいかに相手の生活にとって良い影響もたらすかを心を込めてお話しした後、爽やかにお話を切り上げるのです。
「こちらからお話しすることはこれで全てです。ゆっくりお考えいただいて私どもがお役に立つことがありましたらぜひご連絡ください。またわからないことがあったら、いつでも補足の説明をさせていただきますね。今日はお時間をありがとうございました」

そうすると説明を受けた相手は、自分の意思で自分のタイミングでそれを考えることができて、説明の内容を納得した上でぜひ使ってみよう、ぜひ契約してみようと思ったときにあちらからコンタクトをしてくださるのでしょう。

お客様本位のアプローチに切り替えたところ、お電話をいただくことが多くなり、双方が納得してことを進めていけるから気持ちが良いとのことでした。
またお使いになった方からのご紹介も増えたんだそうです。

お勧めするものやことがどんなに素晴らしくても、実はそれをお勧めする人のお人柄が1番大切だということですね。

愛やる言葉で思いやりを持って人に接すること、これが大切だとつくづく思います。

2025.10.8
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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