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  • 中野 裕弓

アンビションレベル

4月、あちこちで新入社員の姿を見かけます。
研修に参加するのか、皆さん集まって移動中の人たちも。

また、初めてランドセルを背負った小学1年生も荷物のバランスを取りながら一生懸命歩いていますね。

自分の初めてのランドセルストーリーはあまりにも遠い昔なので覚えていませんが、笑、新入社員だった頃のことは思い出します。

今までは学生という立場で社会と関わっていましたが、今度は社会人としての生活がスタートしたわけですから、いろいろ戸惑いがありました。

お金(月謝)を払う側からお金(お給料)をもらう側になるということはとても大きなチェンジポイントです。

この新入社員たちが3年後、5年後どんなふうになっているのか想像してみました。

好きな仕事に巡り合っていきいきしてる人、働きやすい環境でのびのびと仕事をしている人、いい仲間に囲まれて世界が広がったと喜んでいる人…

かと思うと

組織に合わせる生活ができなくて途中でギブアップする人、人間関係で頭を抱えている人、仕事はお金を稼ぐための手段と割り切り無難にこなすだけで精一杯の人…

また、自分が本当にやりたいことが見つかって別のステージに転職していく人、自ら会社を起こして社会を変えていこうとする人…いろいろです。

新入社員だった頃の私は、上司に言われることをそつなくこなすこと、そして職場で可愛がられることで精いっぱいでした。

その頃の私に、こんな質問をしてみたらどうでしょう?

「あなたは将来どんなふうになっていたいですか?5年後、この職場でどんな仕事をしていたいですか?」

うわぁ、会社員になれたということでいっぱいいっぱいなのに、将来のことなんて全く考えられません…。
私は即座にその質問に答えられなかったと思います。

アンビション Ambition
とは大きな志、野望と訳します。

そういえば、昔、札幌農大のクラーク博士が 「Boys be ambitious 青年よ大志を抱け」と言ったのは有名ですね。

アメリカで働いていた頃、こんなことがありました。

私が担当する財務部に新しいマネージャーがやってきました。
彼から人事担当の私にこんなリクエストがありました。

「財務部250人の中で今後中心となって動いてくれる優秀なスタッフのリストを作ってほしい」と。

私は人事資料やデータを駆使して数人を選びました。
リストには学歴、学位、職務経歴や功績、人事考課の結果などを入れました。

これは極秘の任務でしたから、誰にも相談することができず、でもできるだけ客観的なリストを作ったつもりでした。

それを見てそのマネージャーはなるほどとうなずき、私に言いました。
「よくできたリストだけど、1番大事なものが抜けているね」

それは?
「一人ひとりのアンビションレベル」でした。

アンビションレベル ⁇
(志の大きさの度合い)そんな言葉を聞いたのは初めてでした。

つまり
これからの自分のキャリアをどれだけ真剣に考えているかを知るバロメーターです。

「あなたは5年後、どこで何をしてると思いますか」という質問をみんなに聞いてまいりました。

「5年後?今の部署でマネージャーになっている」とか「将来は今のキャリアを活かして別のところで国際交流の仕事をしている予定」中には「地元に帰って会社を起こしたい」と答えは様々でした。
「会社から与えられた職務で全力を尽くしていたい」
こんな時、日本では多分このように言う人が多いと思います。

確かに会社にとってとても便利で都合の良い社員にはなるでしょうが、もっと真剣に自分のキャリアを考えるという点ではアンビションレベルはそう高くないと思うのです。

もらう仕事を受け身で取るのか、それとも自分から道を切り開いていこうと思うのか、そこに大きな違いを感じました。

(もちろん「5年後はこの会社の社長になっている」というような現実味のない夢は論外ですが… )

私の若い頃には仕事ができるだけでありがたかったので、組織の中でアンビションなんて持つことは考えられなかったのです。

でも常に健全な大きな志を持って働くことはこれから仕事をやっていく上で大いにモチベーションになると思います。

人の役に立つ仕事をしていたい。
自分もやっていて楽しくて、
それが周りの人の助けになるようなそんな仕事をしていたい。

こんな志と夢を持って、今日1日の仕事を始められたら、きっと新入社員の彼らたちも5年後にはそれぞれの場所で輝いていることでしょう。
そう考えたらワクワクしてきました。

2024.4.15
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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