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  • 中野 裕弓

ゆんたくのススメ

「ゆんたく」とは本来沖縄の言葉で、集って語り合うおしゃべりのこと。

「週末、ゆんたくしない?」
私はこんな風に友だちとよく集いますが、それはいわゆる井戸端会議とはちょっと違うニュアンスです。

テーマを決めて、みんなでそれぞれ自分の体験を語り、話を聴く時間です。

メールやLINEで簡単に意思伝達でき、またZoom等を使って画面でお互いの姿を見ながら語り合うことができる時代になったからこそ、人々が同じ場に集い語り合うことは以前にも増して重要になりました。

私流の「ゆんたく」の元になったものにもう一つアメリカのネイティブインディアンの風習ウィズダムサークル(知恵の輪)というものがあります。

数人で車座になって座り、トーキングオブジェクト(話し手が持つもの)を持った人だけが順番に語ります。

手順としては…

・初めにその場を「安心で安全な場」にするためプチ儀式をします。
例えば皆で目を閉じてちょっと沈黙してから始めるとか、自宅なら鈴など何か優しい音で場を整えるのもいいですね。

・真ん中にトーキングオブジェクト(話し手が持つもの)を用意。
それは松ぼっくりでも、小さなふわふわおもちゃでも何でもいいのです。
話したいと思った人が、それを手に取り語り始めます。

・その間、周りの人は言葉を挟まず、“心ある聴き手”になってじっくり話を味わいます。
話し手に対して何も意見を挟まないというルールがあるとそこには聴く人も自分自身との深い対話が始まります。

・終わりは同じくプチ儀式。
その後は自由に歓談をどうぞ。

最初と最後には「この場で語られたことはこの場限り」という守秘義務を再確認してくださいね。

沖縄の風習「ユンタク」とネイティブインディアンの「ウィズダムサークル」の2つを掛け合わせた「ゆんたくの場」を皆さんにお勧めします。

忙しい毎日の中でこのような安心で安全な場を作り、静かに話を聞いたり、心を開いて、仲間と語ることはとても豊かで幸せな体験です。

私にとって「ゆんたく」とはあくまでもお互いの体験や感じたことを分かち合う場で、理論や知識をひけらかす場ではありません。

会議やミーティングのようにテーマや何かの目的意識を持ったものでもありません。

でも、こういう形で交流を重ねていくうちにインスピレーションが刺激され、お互いの相乗効果であっと驚くほどのアイディアが湧くこともあります。
その過程が楽しくて、ときには時間が経つのも忘れてしまうくらい。
それでもゆんたくの後はみんな元気いっぱいで輝いています。

自分の思いを敢えて自分の言葉で口に出すこと。
それはパワーの源なのです。
「明瞭さは力なり」といつも思います。

自分の体験したこと、感じたこと、思ったことを黙って胸のうちにしまっておくより、言葉に出した方が自分がどんどん豊かになっていく気がします。

「こんなこと言って笑われたらどうしよう…」
「反論されたらどうしよう…」そんな心配は無用です。

ゆんたくで使いたいのはThink(考え、理論、左脳)の言語ではなく、Feel (感じたこと、感覚、右脳)で感じたことを感じたままに言えば良いのです。

あなたが感じたことはあなたのものです。
誰もそれを馬鹿にして笑ったり反論したりはできません。
だから安心してください。
さぁ、大いに語りましょう。

2024.5.27
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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