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6月の近畿地方の地震と7月に西日本を襲った集中豪雨。
このコラムを書いた翌日にニュースで記録的豪雨の大きな被害があったことを知りました。
日が経つにつれて報道される被害の大きさに言葉を失い、自身の無力さを痛感しています。
私が受けたものは被害とは言えないような軽微なもので、
その時の出来事を記載するのは軽率でもあり憚る気持ちの中で躊躇がありましたが、
今回の出来事において人の温かさや私を取り囲む人達への感謝、
平和の中で鈍化し怠けた私の感覚に警鐘を鳴らしてくれたこともまた事実でした。
不適切な表現や内容があった際には、何卒ご容赦いただけましたら幸いです。
一日も早い復興を願い、この度の自然災害で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
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昨夜から出張のため福岡に移動し、記録的豪雨で京都の自宅に帰れなくなった。
必死でホテルを探したがほぼ全滅状態。
一見あるように見せかけて、アクセスでサイトがパンクしているのか繋がらない。
駅から少し離れた場所をようやく見つけても、その日はタクシーも全滅状態で駅からの移動をお約束出来ないと。
大雨の中、部下を連れて立ち往生させる訳にも行かず、ようやく見つけた唯一博多駅から送迎バスでの移動が確保された、車で約1時間離れた海辺のリゾートホテルにやって来た。
この状況の時になんでリゾートなんだと。

プールがあり、バーがあり、ヤシの木があり、天気が良ければきっと物凄く素敵な所なのに残念だなぁと思いながら、そもそも天気が良ければ私はここに来ていないことに気がついた。
昨日の朝の大雨の通勤で、絞れそうな程ズブ濡れになった服と靴がまだ乾かず、
一泊出張の予定で出て来たため着替えも無く、
明日も帰れるのか分からずホテルのショップでヤシの実の模様のTシャツと白のスニーカーを調達した。

無難だし、まぁ有りかなと。
少なくても湿った7㎝パンプスよりは、明日の帰宅チャレンジで遥かに頑張れそうな気がする。
部屋に入ると私の好きなヘアブラシがあった。このブラシがあるホテルに何故か安心する。
このブラシが好きなのか、好きなホテルにいつもこのブラシがあるのかは分からない。
そもそもそんなことはどうでも良い。
大変な時にどうでも良い事を考える癖がある。
明日の帰路の心配さえ無ければとても心地良いと感じる風に吹かれながら、夜中の1時を過ぎた時刻に外の南国風のチェアに座ってこのコラムを書いている。

帰れなくなった私を気遣ってくれている2名の同僚とラインをしながら。
1人は私と同じように九州に帰れなくなり関西で足止めをされている。
もう1人は当コラムの締切りをいつも私に迫る張本人である。
まるで厳しい編集者のように。
追い立て無ければいつまで待っても書かない私の性格を理解しているからだろう。
最高の理解者だ。
私一人なら兎も角、2人の部下を連れて帰路の確保ができない不安や焦りを抱えた状況でも、
夜風が心地良いと感じるのはそのせいでもあると思う。
やはり持つべきものは友。

皆が出はらって、本社に一人残してきた新入生が無事に帰宅したことを、仲間がメールで教えてくれた。

沢山の仲間に支えられていることを、ひしひしと感じる。
少し前の近畿地方に来た地震では私の大切な講習室が大変なことになった。
倒れまくった家具や植物やメダカ鉢。
社内の皆が寄ってたかって復旧作業を手伝ってくれる姿に、ショックを受けていたはずが元気になった。


90分以上も床に投げ出されたメダカも生きていた。その生命力にも感動した。

倒れて丸裸になった植物が、2週間経って新たな葉や枝が伸びて来た。


2年近く葉っぱだけだった株分けした胡蝶蘭から突然蕾が出て来た。

なんで今頃と思い、愛おしくなって写真を撮ったら翌日蕾が開いて花が咲いているのを部下が見つけた。

まるで写真を撮るためにメイクをするかのように。
きっとこの蕾は女性に違いない。
何故かまた元気が出た。
この部屋は風が通らないから観葉植物は育たないと言われていたけど、ジャングルのようにニョキニョキ伸びてくる。
これは間違いなくお越しくださる方々の、途方も無い位の圧倒的エネルギーの仕業だと確信している。


今の時刻は深夜2時。
2名の同僚は、この時刻までラインに付き合ってくれた。
そして集中豪雨の中を、今夜海辺のホテルまで一緒にやって来た、私の愛しい部下。
帰れないことにきっと疲れているけど、必死でそれを抑えて頑張ってくれている。
人の心を感じることが出来る彼女の何かの要素が、私に人に優しくあることの大切さを
気づかせてくれる繊細さを持っている。
そしていつ帰れるか分からないのに、何故か嬉しそうにしているもう一人の部下。
明太子ご飯を食べながらグァバジュースを飲んでいる彼女は相当のツワモノだと思う。
その摩訶不思議な天然ぶりが、何度私の心を救ってくれたか分からない。

私には、本社で留守を守ってくれている、とても頼もしい愛しい部下達もいてくれる。
彼女達の存在が、どんな状況であっても私を前に進ます原動力になっている。
私が止まることを最も許してくれないのは、彼女達の存在であるようにも思う。
結婚や出産、人生の選択などそれぞれの「道」を歩む中で、時には堂々と、そして時には密かに
数え切れない程の涙を流して淋しさを乗越えて来たのは、彼女達と出会うためであったと、まるで確信のように今はそう思う。



短期間に起こった様々な一見マイナスに思える出来事が、
私に新たな気づきを与えてくれ、新鮮で素直な気持ちにさせてくれたのは、
呆れられる程の私の鈍感な性格もさることながら、
周りの人達が与えてくれた優しさと温かさとパワーと、
そして私の大好きな季節である夏のせいでは無いかと思う。
世話の焼ける上司の面倒を良く見てくれている、感謝すべき愛しい部下を引き連れ、
災害時における采配の権限をくださったことに感謝し、決断において私の心を大きく救ってくれた、
無理をしなくて良い、守るべきは〈安全第一〉と、私の上司からの2つの言葉を羅針盤にして、明朝、帰路の確保に奔走する。

ドクターリセラ株式会社 リセラアカデミー 藤川知子
2018年7月6日福岡の災害避難先のホテルにて。
