エステサロンを経営する中で、経営者が気付かないうちに法律に違反してしまうことがあります。もし違反をしてしまうと、経営の存続が難しくなる可能性があるため、法律についても必ず知識を持っておきましょう。
今回は経営者が把握しておくべき、そのようなリスクがある法律について紹介します。
INDEX
まずは、景品表示法についてご紹介します。景品表示法はエステ経営者が知っておくべき法律の一つです。
景品表示法は、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るために制定された法律です。
簡単にいうと、商品やサービスを過剰に良く見せたり、誤解を招くような見せ方をして、お客様の誤解を招くことを防いだり、過剰なプレゼントや値引きでお客様を集めるのを防ぐ法律です。
消費者が良い商品やサービスを選ぶときに、実際よりも良くみせかける表示が行われたり、過大な景品付きで販売が行われると、本当は質の良くない商品やサービスを買ってしまうおそれがあります。
こうした消費者が不利益を被ることを防ぐために、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制し、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限などを行っているのが景品表示法です。
エステ経営において、エステサロンの宣伝で広告を打ったり、POPを作成することもあると思いますが、景品表示法に違反すると、消費者庁から措置命令がくだり、改善しなかった場合、課徴金の納付が科せられる可能性があるため、経営者は注意が必要です。
ではエステサロンにおける表示に景品表示法が適用されそうなシチュエーションを考えてみましょう。
例えば、施術メニューやキャンペーン広告、商品の販売などが該当します。
特に注意が必要なのは、以下のような場合です。
誇大な効果や効能をうたった表示は避けましょう。
科学的な根拠や確かな証拠がない限り、客観的な表現を心がけましょう。
例えば、以下のような文言を根拠なく使用するのはNGです。
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「世界最高の品質基準」「サロン支持率NO.1」「効果抜群」「最安コスト」「他にはない最上質」「芸能人ご用達の注目サロン」「最高級の」「世界初」「約5分で効果が体感できる」「30分で半顔アップ」「1回で結果が出る」「浸透率が70倍も高まる」「約1分間で血管内の滞っていた赤血球がするすると流れるようになり体もスッキリ」
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キャンペーンでの景品や特典を提供するときに、取引価額が1,000円以上(例えば8,000円のサロンケアメニューなど)のサービスや製品を購入いただいたときの添付景品の最高額は、取引価額の10分の2と定められています。
過剰なサービスは景品表示法に違反することになるため、控えるようにしましょう。
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例:10,000円のサロンケアメニューを購入の場合、添付景品の最高額は2,000円分までのものです。
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くじやジャンケンなどの偶然性、特定行為の優劣等によって景品を提供する「懸賞」を行うときには、5,000円未満のサービスや製品購入の場合の最高額は、取引価額の20倍までと定められており、5,000円以上のサービスや製品購入の場合のプレゼントの最高額は、100,000円と定められています。
また、景品の総額も懸賞に係る売上予定総額の2%と細かく決まっているので、提供する前に計算して問題ないか確認すると安心です。
では、より具体的に実際のエステサロンにおける景品表示法に関連するNG例をいくつか紹介します。
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Aエステサロン:痩身(そうしん)マシンを使用した施術を提供。広告で「誰でも全員!1回の施術で10cmのサイズダウンが可能!」とうたっていました。しかし、この表記は効果を過剰に宣伝していて、科学的な根拠がないため景品表示法に抵触します。
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Bエステサロン:期間限定のキャンペーンを実施。広告では「期間限定!通常価格から50%オフ!」と表示していますが、実際には割引前の通常価格で販売実績がなかったり、期間限定とうたっているのに、期間を定めずに年中キャンペーンを実施していると景品表示法に違反する可能性があります。
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Cエステサロン:新商品の化粧品を販売。広告では「シミ・シワを短期間で劇的に改善!」とうたっていますが、商品の効果には科学的な根拠がなく、誇大な表現となっています。このような表示は景品表示法に抵触します。
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Dエステサロン:限定数量のコースチケットを販売。広告では「数量限定!30名限定価格!」と表示していますが、実際には数量制限がなく、全員が同じ価格でコース契約をさせていた場合、消費者が誤認する可能性があり、景品表示法に違反します。
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これらの例から分かるように、エステサロン経営者は広告や表示において慎重さが求められます。
正確な情報提供と消費者の利益を守る姿勢を持ちながら、景品表示法を遵守しましょう。
薬機法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質・有効性・安全性の確保などによって、保健衛生の向上を図ることを目的とした法律で、簡単にいうと、人々の健康と安全を守るために、医薬品や医療機器の品質や有効性を確保し、適切な取り扱いと使用を促進し、消費者が正確で客観的な情報適切な判断を行い、安心して医薬品や医療機器や化粧品を利用できるようにするための法律です。
エステサロンで使用される化粧品にも適用されるので、注意する必要があります。
薬機法に関して、エステサロンでは、以下の点に注意する必要があります。
化粧品・サプリメントが訴求できる効能・ 効果範囲を超えるような表現は薬機法で禁止されているため、広告表現などに注意しましょう。
化粧品の効能の範囲は以下サイトをご参照ください。
サプリメントを販売するエステサロンも多いと思いますが、サプリメントは薬ではなく、あくまで食品なので、病気や症状、身体の一部や機能に効果があるかのような表現はできません。
また、飲み方の指定(用法・用量)を行うことも医薬品的な表現となるためできません。
「特定保健用食品(トクホ)」「機能性表示食品」は消費者庁に安全性と科学的根拠(エビデンス)を届け出ることで、機能性をうたうことが可能です。
機能性をうたうときは、定められた表現を使用して、消費者に誤解のないように注意しましょう。
薬機法を遵守するためには、専門的な知識と正確な情報が必要ですよね。
ですが、情報量が多く、法改正される場合もあるため、常に最新情報を正確に把握するのは難しいです。
そこで、薬機法チェックサービスの活用が便利です。
検索すると様々なサイトがヒットするので、
専門家やツールを活用しながら、薬機法を遵守していきましょう。
医師法とエステは関係ないと思われる方もいらっしゃいますが、レーザー脱毛やアートメイクなど医師の資格が必要なものも存在します。
医師法は、医療行為を行う医師の資格や業務の範囲を定める法律です。
エステサロン経営者にとっても、医師法の基本原則を理解することは重要です。
なぜなら、一部の施術や行為が医療行為とみなされ、医師の免許が必要とされる場合があるからです。
医師法では、医療行為の定義や医師以外の者が制限される行為などが明確に規定されています。
エステサロン経営者は、自身の施術やサービスが医療行為に該当するかどうかを確認する必要があります。
例えば、レーザー脱毛やアートメイクなどの一部の施術は、医療行為に該当するのでエステで提供してはいけません。
また、医療行為と誤解を招く表現もNGです。
以下のような医療行為に接触する用語の使用は控えましょう。
「治療」「治す」「治療」「診断」「医学的根拠」「矯正」「解消」「改善」「医師監修」等
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律では、医師以外の者で、あん摩、マッサージもしくは指圧、はりまたはきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許またはきゆう師免許を受けなければならないとされています。
そのため、国家資格を持たないエステティシャンは、「マッサージ」ができません。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律へ抵触することを避けるために、エステサロンでは「マッサージ」の言葉を避けて、「トリートメント」という表現を使用しましょう。
「フェイシャルマッサージ」→「フェイシャルトリートメント」
「ボディマッサージ」→「ボディトリートメント」
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まずは、以下のリンクよりダウンロードください。
エステサロン経営者が知っておくべき法律には景品表示法、薬機法、医師法、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律などがあります。
これらの法律に抵触しないような表現やサービス内容で、エステサロン経営を行っていくことが大切です。
ご自身のサロンのサービス内容や、広告を見直し、問題ないか確認してみてくださいね。