こんにちは!美と健康をサポートするリセラジャーナルのフード担当椿本です。
CMやお酒のパッケージなどで「プリン体」という名称を見聞きしたことがある人も多いでしょう。
お酒をたくさん飲む人や生活習慣が乱れている人などが、健康のために摂取量をセーブすることでも知られていますよね。
摂りすぎて「尿酸値」が一定の基準を超えると、痛風や高尿酸血症などの病気になりやすくなると言われています。
しかし、プリン体は生命機能の維持に必要な成分なのです。
今回は、プリン体についての正しい知識と、プリン体が分解される際に発生し様々な病気の原因となる「尿酸値」を下げるための食事法についてご紹介します。
目次
プリン体や尿酸値という言葉は知っていても、どんなものなのか詳しく知っている人は少ないかもしれません。
2つの用語について解説していきます!
プリン体とは、身体を動かしたり内臓を正常に機能させるためのエネルギー源となる物質で、常に体内で生成されています。
細胞の中に元からあるもので、動物・植物いずれの食品にも含まれます。
細胞の中心に存在する「核酸」を構成する主成分の総称がプリン体なのです。
「核酸」は、すべての生体内に存在している高分子物質。
窒素を含む塩基、燐酸(りんさん)、ペントース(=炭素原子五個をもつ糖)から構成され、遺伝とたんぱく質の合成に重要な役割を果しています。
プリン体を主成分とする「核酸」は、私たちの細胞内で遺伝情報を伝える役割を持っています。
古くなった細胞を分解する新陳代謝の過程でプリン体が排出されます。
私たちの体内では、プリン体は肝臓で代謝されたのち「尿酸」となって体外に排泄されます。
体内では正常であれば約1,200mgの尿酸が蓄積されていますが、1,500mgを超えると痛風や高尿酸血症などのリスクが高まると言われています。
「尿酸値」を高めてしまう原因は、「尿酸」の発生量が増える場合と、「尿酸」の排泄量が低下する場合の2つのケースが考えられます。
「尿酸」の発生量が増える場合には、悪性リンパ腫や白血病、甲状腺機能低下などの病気に起因している場合もあります。
そのため、ただプリン体の多い食品の摂取を控えるだけでは下がらないことも。
利尿薬を服用している場合も、尿酸の排泄量が低下し尿酸値は上昇します。
「尿酸」は、プリン体が肝臓で分解されて生じる老廃物です。
一定量を超えた「尿酸」は尿や便として排泄されます。
1日に体内で産生される尿酸はおよそ700mgで、同じく1日に体外へ排泄される量も700mg。
体内の尿酸は常に一定の量(健康成人男性の場合およそ1,200mg)に保たれています。
血液中の尿酸の濃度を「尿酸値」と呼び、男性は3.0~6.9㎎/dl、女性は2.5~6.0㎎/dlが正常値(基準値)とされています。
この数値は尿酸の血液中での飽和濃度に相当し、その基準を超えるとそれ以上は血液中に溶け込めなくなるという値です。
尿酸が血液に溶けずに結晶化すると、各関節や腎臓、尿路などに沈着していきます。
この状態を「高尿酸血症」といい、尿酸が関節部に沈着すると痛風を起こし、皮膚が赤く腫れ激しい痛みを伴います。
腎臓や尿路に沈着すると結石になります。
プリン体を多く含む食品は、食べ過ぎないように注意しておきましょう。
プリン体を多く含む食品の代表的なものはレバーや白子です。
レバーは動物の肝臓、白子はタラ、アンコウ、フグなどの精巣です。
つまり、プリン体を多く代謝する内臓にプリン体が多く含まれているということです。
そのほか、一部の魚介類(エビ、イワシ、カツオ等)や、干し椎茸が挙げられます。
レバーや白子を毎日大量に食べることはあまりないと思いますが、飲酒の際に一緒におつまみとして出されるメニューにプリン体を多く含むものが多いため注意が必要です。
酒類ではビールが最もプリン体を含んでおり、次に日本酒などが多くなっています。
ワインや焼酎には極微量しか含まれていませんので、プリン体が気になる方は、ビールや日本酒などの醸造酒を避け、蒸留酒を選ぶようにしましょう。
プリン体が気になるけれど、やはりビールが好きだという方は1日500mlまで、日本酒の場合は1合まででしたら許容範囲となります。
「尿酸値」は日々変動しますが、検査で複数回「尿酸値が高い」と診断されたら、治療が必要になる前に、まず食事内容から改善していきましょう。
プリン体を減らすための食事法とは、まずシンプルにプリン体を多く含む食品の摂取を減らし、アルコール類の飲用をできるだけ減らすことです。
次に、水分を積極的に摂って尿量を増やし尿酸の排出を促すこと、野菜を中心とするアルカリ性食品を多くとり尿をアルカリ性に保つことです。
また、適度に運動する習慣をつけ、日々のストレスを解消することも効果をたかめます。
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
「尿酸」は酸性の物質なので、尿が酸性(Phが低い)に寄っていると「尿酸」が溶けず、結晶化しやすくなってしまいます。
アルカリ性の食品を意識して摂ることで、「尿酸」の排出を促し、血液中の尿酸濃度を下げることができます。
また、カロリーが低い食べ物が多いので、プリン体の生成を増やしやすい肥満傾向の方にも効果的です。
アルカリ性食品の代表的なものをご紹介します。
大豆、じゃがいも・さつまいも・里芋など芋類、大根、にんじん、ごぼう、かぶ、椎茸など
なす、キャベツ、ほうれん草などの野菜、海藻、果物全般
ひじき・ワカメなどの海藻類
牛乳やヨーグルトなどの乳製品はプリン体が少なく、さらに「尿酸値」を下げる働きがあると言われています。
その他、キャベツやジャガイモ、レモンやスイカなどの果物などに含まれるビタミンCには利尿作用があり、「尿酸」排泄を促す働きがあるとされています。
ビタミンCは水溶性で熱に弱い特性があるので、長時間水にさらしたり加熱したりせず、そのままいただくのが最も効果的です。
中でも、いも類に含まれるビタミンCはでんぷんに守られており、加熱調理によるビタミンCの損失が少ないため、普段のメニューに取り入れやすいかと思います。
また、水分を多く摂ると尿量が増え、尿酸を体外へ排出するのを助けます。
1日に1.5~2Lくらいを目安に、積極的に水分を摂ったり、利尿作用のある緑茶、コーヒーなどを飲むのを習慣にすると良いでしょう。
特に、汗で水分が失われた際にしっかり水分補給するようにすると、血中の尿酸濃度を上げずに抑えることができます。
上記の食品を適切に摂取する以外にも、生活習慣を変えることで、尿酸値が上がるのを防ぐことができます。
肥満傾向の人はプリン体を合成しやすく、「尿酸」の排泄機能が低下しやすいと言われています。
脂肪が気になる方は、脂質や糖分の摂りすぎに注意し健康的な体型を目指しましょう。
プリン体の多い食品を控えめにし、野菜や果物などをバランス良く摂るように心がけましょう。
「尿酸値」が高まると尿が酸性になり尿酸が排出されにくくなります。
先に挙げた「尿をアルカリ化する食品」を意識して摂るようにしましょう。
有酸素運動は「尿酸値」を下げる効果があります。
逆に、無酸素運動などの激しい運動は新陳代謝を活発にし「尿酸値」を高めてしまう恐れがあります。
リラックスした状態でゆったり行えるウォーキングやヨガなどの軽めの運動を継続して行うのが良いでしょう。
ストレスが多い環境での仕事や脳を酷使する仕事を続けていると、「尿酸値」を高める傾向があると言われています。
仕事とプライベートのオンオフをしっかり切り替えて、日々リラックスして過ごせる自分だけの時間を取るようにしましょう。
まるで健康に悪いもののようなイメージのあるプリン体ですが、実は身体を動かすのに欠かせないエネルギー伝達物質でもあります。
また、皮膚や内臓の細胞が生まれ変わる際(細胞の新陳代謝)にもプリン体が使われるため、生命活動には必須の物質です。
普段の生活の中で、バランスの良い食事やストレス解消ができている方ならば極端に避けるものではありません。
少し肥満傾向やストレスが多い生活の方、お酒をよく飲む方の場合は、「尿酸値」が上昇しやすいので注意が必要になります。
痛風や結石などの病気にならないためにも、野菜や海藻などアルカリ性の食品を積極的に摂取するなど、日々の生活習慣や食事内容を意識しながら上手にプリン体と付き合っていきましょう。
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