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  • 中野 裕弓

神流れ

以前、友人と話していた時、「神流れ」という言葉が耳に残りました。

信心深いその友人は、予期せぬことが起こったときの身の処し方として話してくれたのが「神流れ」という考え方でした。

それをふと思い出して辞書を引いてみたのですがその言葉は見つからなかったので、私なりに「神流れ」を解釈しました。

それは、宇宙の流れに沿った生き方のこと。

目の前に現れる出来事を一つ一つ心に留めて、その流れに逆らうことなくむしろ積極的にその波に乗ってみること。

それはただ受け身で流されていくのではなく、自ら納得して全てを信頼し流れに乗っていくことです。

通常、予期せぬ出来事が起きたとき人は驚き慌てて、どうにかその事実に対応しようといろいろな考えを巡らしてしまいます。

例えば、無理矢理自分の意思を押し通そうとしたり、物事が起きてしまったことへの原因探しだったり、目の前の相手を責めたり、あるいは自分の至らなさに対する自責の念だったり、私にもそういう覚えが過去にいくつもありました。

ところが、

どんなときも自然体で素直な気持ちで物事に対応した時、そこにはどんなことが起こるのでしょう。

実は、それを検証するような出来事を最近の九州へのプライベート旅行で経験しました。
「神流れ」のその自然な展開、爽やかさを実感しました。

出発まで十分に余裕を持ってリムジンバスで出発したというのに、途中の湾岸道路で思わぬ渋滞が起きて、結局バスの空港到着は大幅遅れ。

私は車椅子なので、チェックインは、ファミリーサポートのカウンターなのですが、そこに着いたのは予定フライトの離陸ギリギリの時間、万事休す。

でもなぜか慌てることもなく、落ち着いてカウンターで自己申告しました。

「乗るはずの飛行機に間に合いません。高速道路で渋滞に遭いリムジンバスの到着が今になりました」

担当の方は、即画面をチェックして私に「もう出発ゲートも閉まってしまいましたね」とのこと。

あぁ、残念。
フライト変更のできないチケットでしたから、再購入の手続きになるのかと一瞬ヒャッとしました。

ところがもう1人のスタッフさんが「次の3時間後の出発便に2名分お席が取れました」とスムーズに変更してくださったのです。
ありがたいことです。

そして車椅子の諸々の手続きが済んであっという間に出発手続き完了。
サポートデスクの皆様は終始笑顔で協力的。
VIP待遇のようでした。

あらら、追加料金の請求は?
何もありませんでした。
(以前、同じような体験をしたときには、新しいチケットの購入をしたというのに…)

その時の私の心境は無理に言い訳するわけでもなく、淡々と事実を説明し、次の流れを待ちました。
目の前に起こる事態に抵抗することもなくただ流れに乗っていって遅延を申告しただけ…だったのです。

いつもだったらもっとドラマチックに遅延の理由を述べたり、先方にスケジュール変更をどう伝えようかといろいろ思いを巡らせて画策するのに、そういうものは全くありませんでした。

大きなところで、もう宇宙の波に乗るって決めてあったかのようです。
そうなると宇宙は細部まで面倒見が良い⁈と感じます。
周りを巻き込んで全てがうまく流れていく感じです。

3時間遅れたことはその後の快適な旅の序奏でした。
穏やかな気持ちで九州につき、合流した友人とともに流れるようなルートで目的地に到着。土壇場での変更も自然に受け入れて、最大限のおもてなしをしてくださる方々のありがたさ。

フライトも乗れたら乗れるでしょう。
乗れなかったらその次の手段でしょう。
予定変更に対してすべて受け入れすべてを楽しむという気持ちがいっぱいでした。

宇宙は大きく動いています。
それに対してその都度文句を言ったり、他人を責めて責任転換したり、自分の思慮のなさを悔やんだり、落ち込んだり、どれもエネルギーの浪費かもしれません。

何が起きても常にフィールグッドでいることをすべてのシーンで確認できました。
まさに「降っても照っても大丈夫」の心境。

また、ご機嫌気分でいるとそこにはもれなく周りへの感謝の思いが溢れているのも確認しました。

とりたててありがとうを連呼しなくてもこちらが心から喜んでいることがしっかり相手に伝わる手応えがありました。

これからの世の中は今までの常識とは違う流れが来ていると私は思います。
その波に上手に乗ってサーフィンを楽しむためには、抵抗せずに素直に流れに身を任せることも一考です。

「神流れ」

何も考えずただ流されるのとは全く違います。
意識を持って喜びを持って流れていく…それに尽きますね。

Let’s enjoy life.

2024.6.10
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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