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  • 中野 裕弓

「まぁ、いいか」のお盆

今日はこんなケーススタディをご紹介したいと思います。

Q: 「良い vs 悪い」「正しい vs 間違い」の世界から抜け出せず、いつも自分の価値観で物事を裁いてしまいます。
こんな縛られた思考パターンからもっと自由になりたいと思うのですが…

A:そういう方にぴったりなのが「まぁ、いいかのお盆」です。

今まで私たちは「良いこと、悪いことを見極めよう。どれがプラスになってどれがマイナスかをよく考えて…」と教えられて育ってきました。
従来の古い価値観です。

「これが正しい、あれは間違い」ということは大変な労力を要します。
データエビデンスも必要でしょう。
常に誰かからチャレンジされるので気が休まりせんね。

良い悪いで物事を裁く世界に住んでいた人が、今度はプラスもマイナスもオーケーの人生を送ろうとするのは確かに大変なことですね。

ですが、

それもコツさえつかめれば、考え方生活の仕方も変えることは案外簡単なのです。

ここにお盆が2つあるとします。

1つは良いお盆、もう一つが悪いお盆。
つまり⭕️のお盆と❌のお盆です。

私たちは起きる出来事を自分の判断基準に照らし合わせ、即、分別するのが得意です。

何かがうまくいったら⭕️のお盆に入れ、ダメだったら❌のお盆にという作業をしているのです。
慣れているので、この作業は素早く自動的に行われているのです。

あっという間に全ての出来事は見事にお盆に仕分けされます。
それでおしまいです。

当然、⭕️に入るものが多ければ、その日はラッキー、❌ばかりならついてない一日となるのです。

ではちょっとイメージしてみましょう。

出かけようとしていたら友達から電話。
話をしているうちに乗ろうと思っていたバスに乗り遅れた。
この出来事は❌のお盆に入りますね。

ところが、次に来たバスに乗ったら、10年来の友人にばったり出会って話が盛り上がった。
これは⭕️のお盆に入れます。

待ち合わせの場所に行ったら開始時間も遅れていて間に合った、ほっ。
それも⭕️のお盆行き。

おいしいランチをと思って入ったレストランは店の人の対応もいまいちで楽しい雰囲気は台無し。
これは❌のお盆。

こうやって考えてみると、朝からずっとすべての出来事にお盆の仕分け、お疲れ様でした。

ではこの図式に新しい部分を書き加えて発想を変えていきましょう。

ふたつ並んだお盆。
❌のお盆の⭕️に近いほうの側の1部分に線を引いて新しい領域を作ります。

この領域のことを(まぁいいかゾーン)とよびます。
この(まぁいいかゾーン)を活用して、もう一度先ほどの出来事を見てみます。

予定通りにバスに乗ろうと思ったのに、友達から電話がかかってきてバスに乗り遅れた。
いつもなら❌と判断しますが、とりあえず(まぁいいかゾーン)に入れておきます。

そうすると不思議な現象も起こってくるのです。

❌のお盆は入れたらそこでおしまいなのですが(まぁいいかゾーン)に仮置きしておけば、絶妙のタイミングでこの事実が⭕️のお盆に移動し復活するのです。

それは1時間後かもしれないし、1週間後かもしれない。
来年かもしれない…そのわからないところがまた面白いのです。

絶妙のタイミングで「よかった、予定のバスに乗り遅れたおかげで懐かしい友人に会えた」となるわけです。

もしかしたらあの時に会った友人から聞いたことを実践したら後に思わぬ成果が出た、となると、あれはまぁいいかゾーンのふりをしたハナマルな出来事だったということに。

いつの間にか❌の領域がどんどん小さくなっていくのがわかります。
そしてついには❌が消滅したとき、奇跡が起きるのです。

それはお盆が両方とも消えてなくなるのです。

つまり出来事は単に起こるべき出来事であって、それに⭕️か❌をつけていたのは私の心だったということに気がつくのです。

もう起こる出来事にいちいち良いか悪いかを判断する必要がないと納得します。

つまりお盆がなくなった瞬間から、物事をあるがままに謙虚に受け入れることが自然にできるようになってくるのですね。

その出来事をどう解釈するかは、私次第。
出来事に対して「全て予定通り」って思えたら素晴らしく、楽しい人生が展開してくると思いませんか。

まぁいいかのお盆にはこんな後日談があります。
大学生風の人からこんな質問が飛び出しました。
「ロミさんの(まぁいいか)と僕たちがしょっちゅう言ってる(まぁいいか)、何か違う気がする。どこが違うんですか」

私は答えて一言、「発音が違います」
会場は爆笑の渦でした。

若い人のまぁいいかは、物事を深く考えないで、目先の事だけで判断して「あれもダメ、これも面白くないマ、イッカ」軽いノリのマ、イッカなんです。

一方、ここで説明した(まぁ、いいか)は心の深いところまで落として腑に落ちたときに執着も思い込みも手放すことができる「まぁ、いいか」なんですね。
起こる出来事は予定通りだったんだと納得でき、執着しないで次に進める魔法の呪文。

一切良し悪し裁くことなく、全てが必要な出来事だとわかる自分になっていったら、ストレスはどんどん減ってです。

「どちらでもありですよ」ってさらりと言えるようになると誰もを作りません。

「まぁいいか」のお盆、大いに活用してみてくださいね。

2024.3.1
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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