みなさま、こんにちは!
ドクターリセラをこよなく愛するフリーアナウンサーの魚住りえです。
先日とあるWEBマガジンで「滑舌」についての取材を受けました。
そもそも滑舌ってなんですか?といった深掘りする質問が多く、私自身も「そう言われてみたら、滑舌ってなんだろう・・・」とあらためて調べてみました。
諸説ありましたが、「滑舌」(活舌とも言う)という言葉が使われたのは、昭和29年のNHKのアナウンサー新人研修のときだそうです。
その後、昭和45年のNHKのアナウンス読本にも「滑舌」という言葉が登場していますが、それ以降はいっさい記述がないとのこと。
つまり、滑舌とは、ことばを仕事にする人たちの間で使われていた専門用語であって、何かをきっかけに、広く一般に使われるようになったそうです。
あらためて「滑舌」が良いとは、
1基本的に、日本語の音として1拍1拍が明瞭に聞き分けられること。
2発音のテンポは、一般的な発話よりも軽快で(テンポが速く)あること
3言いよどみや、言い直しがないこと
4一定のテンポで発音され、速度が遅くならないこと
とNHKのサイトでは解説されていました。
私個人としては、2のテンポが速い、は条件に入らず、1音1音の「母音」まではっきり聞き取れ、スピードと声量が乱れることが無いこと、が条件かなと思います。
(早口で悩んでいる人も多いし、早口でよどみなく喋っても聞き手がスピードについてこられないこともあるので・・・)
マスクをまだ外さない、外せないかたも多い中で、滑舌問題は切実ですよね。
喋っても聞き直されたり、伝えられていたと思っていたら、実はまちがって伝わっていた、正確に内容が伝わっていなかった、なんてこともあるようです。
円滑なコミュニケーションのために、マスクをしていても聞き取れる滑舌の良さは昔より求められるスキルになったのかもしれません。
滑舌の良さの条件として「1音1音がはっきりと聞き取れること」ですが、意外と簡単に改善できます。
それは「母音まで意識して発音すること」です。
日本語の母音は「あいうえお」の5つしかありません。
日本語は、子音「かさたなはまやらわ」にこの「あいうえお」の母音がそれぞれくっつくという、いたってシンプルな言語です。
例えば、「ありがとうございます」を全て母音にすると「あいあおうおあいあう」となります。
なので、「ありがとうございます」というときに「あ、りい、があ、とお、う、ごお、ざあ、い、まあ、すう」と隠れている母音をしっかり意識してみてください。
母音を頭の中で意識するだけで、1音1音がかなり明瞭に聞こえてきます。
劇団四季の舞台をご覧になったことがあるでしょうか。
俳優さんたちの台詞はすべて母音まで発音しています。
「シンバ、どうしたんだい?」→「しい、ん、ばあ、どお、しい、たあ、ん、だあ、い?」
「お父さん、ぼくは怖いんだ」→「お、とお、う、さあ、ん、ぼお、くう、わあ、こお、わあ、い、ん、だあ。」
あくまで舞台上の発音なので、日常生活で使うと、かなり不自然な感じになるので真似はできませんが、お客さん全員に、全ての台詞を聞き取ってもらうために、普段からこのような「母音まで発音する」トレーニングをしているそうです。
この「母音を意識」することを忘れて、なんとなく省エネで話してしまうと、私も相手から「え??なんんて言ったの?」と聞き返されることがあります。
つい「なんとなく」話してしまいがちですが、滑舌に不安のある方は、この「母音を意識する」方法を是非!試してみてくださいね。