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  • 中野 裕弓

こんにちは、プリンセス‼︎

自分のことをプリンセスのように扱うことがいかに大事かを気づかせてくれた女性の話をしたいと思います。

アンはアメリカの職場の元同僚。3人のお子さんを持つシングルマザーで優秀なキャリアウーマンでした。

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仕事が速く、責任感もあって、とても信頼できる秘書さん。ただいつも余裕がなく、時々顔が曇ります。

ティーンエイジャーの3人の子供たちはなかなかお母さんの思い通りに育っていないと不満。なんで私ばっかりこんなにいつも大変なのかしら?とグチもこぼれます。

何でこうなっちゃったのかしら?こんなはずじゃなかったのに、私はもっと仕事に打ち込んで公私ともに幸せな生き方をしたかったのに…

アンは自分の置かれた状況に対しての愚痴や不満がため息とともに吹き出していました。

「ロミ、どうしたら私も自分を好きになれて、あなたのように日々幸せそうに暮らせるのかしら?」

ある朝、彼女は唐突にこう切り出しました。

確かに、日頃のアンを見ていると全てにぞんざいな感じ心ここに在らず。仕事の書類を持ってくる時も、ポンと机の上に投げたり、受け答えもぶっきらぼうだったり、とにかく何かに追われていて余裕がなさそう。
鏡の法則」というのがありますね。

自分が自分のことをどう見ているかはとりも直さず周りの人たちがあなたをどう見ているかと同じというものです。まるで鏡をみているかよう。

考えてみれば、いつも不安や不満で心の余裕のないアンに対して、周りは一目置いて丁寧に対応しているという感じではなく、ぞんざいに扱われていたかもしれません。

鏡の法則の負の連鎖は、自分のところから断ち切っていくのが1番早いのです。それでその時思いついて私はこんなことを提案しました。

「アン、これから自分のことをお姫様のように大切に扱ってみるっていうのはどう?プリンセスごっこしましょうよ」

何のことだかぽかんとしてる彼女に

「私はこれからあなたのことをプリンセス・アンて呼ぶわ。お互いにプリンセスをつけて呼びあうことでなんだか現実が楽しくなると思うの。やってみない?」

こんな言葉が出たことに私自身、驚きました。でもその日以来、私もプリンセス・ロミになったのです。

自分のことは大好きだったけれど、プリンセスだなんて思ったことはなかったので最初は小恥ずかしく、多少の違和感がありましたが、慣れてくると心地よいものでした。

毎朝、アンは「グッドモーニング、プリンセス・ロミ」とエレガントに挨拶をしてくれて穏やかで余裕ある感じになりました。

部屋に書類を届けてくれる時も、丁寧に机の上に置き、これよろしく!と笑顔までついてきます。

それは今までになかった光景
オフィスの同僚たちは「あの2人最近何か面白いゲームやってるみたいね」と興味津々。

朝から私も自分のことをプリンセスと思って行動するので、言葉遣いも所作も変わってくるのに気が付きました
なんだかエレガント、気持ちの余裕が生まれます。プリンセスごっこ、確かに効果ありました。

ある日こんな驚きもありました。
いつものように帰宅した私はすぐにテレビをつける習慣がありました。テレビを流しながら、キッチンで夕食を作っていた時です。

いつもだったらBGMにしか聞こえてこないテレビの内容にふと目がいきました。

それは犯罪24時というリアルな取材番組、麻薬のおとり捜査だとか、殺人未遂だとか、警察の活動が取り上げられていたのです。
今までは特に気にすることもなかったのですが、こんな過激な番組はプリンセスには似合わない、と思ってテレビを消していました。

脳って面白いですね

素直にプリンセスと思っていると、それに見合うような態度を自然にとるようになるものなのですね。

アンのお付き合いにと思って始めた「プリンセスゲーム」心地よくはまってしまって、毎日Feel Goodが多くなったのはまさに私の方だわと嬉しくなりました。

ところがしばらくしてアンがこう言いました。
「私、プリンセス ゲーム降りるわ。
私以前からプリンセスに対してあんまりいいイメージ持ってなかったのよ。高慢で独りよがりで…」と言うので私は慌てて
「あ、じゃぁプリンセスの代わりにクイーンでもいいのよ」

彼女は冷ややかに「そんな自分の気持ちを切り替える位で、世の中の見方が変わるなんてそんなことありえないと思うわ」と言い放って去っていきました。

そして彼女はまた元の彼女に戻っていきました。

彼女は降りてしまったゲームだけど、私は自分にとってとてもしっくりいったので、それ以来、もう30年も続けています。プリンセスゲームに関する本も書きました。

自分を大切に、丁寧に対応しているとどうなるかもうお分かりですよね。

鏡の法則が始動します。

自分を大切にしていると、周りの人も私のことをとても大切に扱ってくれるようになるのです。そこにはいつもありがとうの感謝の気持ちがあり、

結果としてFeel Goodな現実がついてくるというわけです。

どうしたらアンハッピーな現実を変えられるか?と聞いてくれたあの日のアンのおかげで、私は自分自身でプリンスゲームの威力を体験することができました。

皆さんもどうぞ!

これから自分のことを密かにプリンセスって思ってみませんか?

そうすると話す言葉も優しくなり、笑顔もこぼれやすくなり、ありがとうの気持ちも溢れていつも心がほっこり。Feel Goodな日常を手に入れることができるのですね。

2023.4.1
Romi

SNSSHARE

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COLUMNIST
中野 裕弓
人事コンサルタント
ソーシャルファシリテーター
中野 裕弓
HIROMI NAKANO
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19歳で語学研修のためロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、
東京の外資系銀行、金融機関にて人事、研修などに携わる。

1993年、ワシントンD.Cにある世界銀行本部から、日本人初の人事マネージャー、人事カウンセラーとしてヘッドハントされ世界中から集まったスタッフのキャリアや対人関係のアドバイスに当たる。

現在は一人ひとりの幸福度を上げるソーシャルリース(社会をつなぐ環)という構想のもと、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆に従事。 また2001年に世界銀行の元同僚から受けとったメッセージを訳して発信したものが、後に「世界がもしも100人の村だったら」の元となったため、原本の訳者としても知られる。

「自分を愛する習慣」をはじめ、幸せに生きるためのアドバイスブックや自分磨きの極意集、コミュニケーションスキルアップの本など著書多数。

2014年の夏、多忙なスケジュールの中、脳卒中で倒れ5ヶ月の入院生活を経験する。
現在はリハビリ療養の中で新しいライフスタイルを模索中。脳卒中で倒れたことが人生をますます豊かで幸せなものにしてくれたと語る。

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