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  • 奥迫 哲也

豊かさ(2019年1月15日の朝礼より)◇

物心両面の豊かさを目指すというフレーズは
京セラの創業者の稲盛和夫さんの言葉から拝借しています。

稲盛さんは1932年鹿児島に生まれて
医学部を目指して受験に失敗しましたが、鹿児島大学を卒業して、
その後技術者として京都で就職をすることになりました。

やがて会社を辞めることになって、27歳のときに
お客様から「君の技術を世の中に試してほしい、出してほしい。
君の技術に投資する」ということで

お客様が稲盛さんに投資して新しい会社を作りました。
ですからもともとは技術者です。

経営者というより技術の方で、
会社にも寝泊まりして、ひとつひとつの商品に魂をこめて
技術者として開発をしてきました。

そういったときに27歳で独立、3年経ったときに
11名の高卒の新入社員から団体交渉というものを受けました。

まだ会社が30人くらい 創業3年目で、11人の高卒の血気盛んな若者から
社長である稲盛さんに交渉があったわけです。

創業3年目ですから、ひとつの技術を世の中に出すために、
30人の会社ですから必死で立ち上げていた時期で
今でいうブラック企業じゃないですが当然残業も多い。

そういった時期に11人が稲盛社長に
「自分たちの将来が不安だ。定期的な昇給、昇格、
ボーナス、そういったものが保証されるのか。
このままでは不安で、ちゃんとそこを答えてもらえないと
自分たちはこの会社で長く勤められない」と詰め寄ったわけです。

そうしたときに稲盛さんは
「まだ3年目の会社で一生懸命やっている時期だから自分を信じてくれ」
と話をしました。

そうしたら「言葉だけでは信じられない」ということで
三日三晩自宅まで来て話をしたというエピソードがあります。

最後は稲盛さんが、さすがだと思うんですが、こう言われたそうです。
「信じられないなら仕方がないけど、一度人を信じてみる勇気を持たないか。
もし自分が君たちを裏切ったら、自分を刺殺してもいい」と。

当時、学生運動とかが盛んな時期だったのかもしれませんが、
労働組合などいろんなところで激しい時代だったと思います。

殺す殺さないくらいの勢いで、最終的には自分を殺せと。
自分を信じる勇気を持てと。

まだまだ小さな会社だけど自分を一度信じてみろと。
自分が嘘をついたら殺せと、ここまで言ってなんとか収まったそうです。

そのときに稲盛さんは「経営ってなんだろう、会社ってなんだろう」
ということを深く深く考えたそうです。

会社はなんのためにあるのか、株式会社というのは株主の利益のためにあります。
特に上場している会社は株主が投資しているわけですので、
投資した人に利益を還元するためにあります。

一般的に会社は誰のためにあるかというと、
株主のためと答える会社が多いです。

でも稲盛さんは、そこで会社はなんのためにあるのかということを
考えたときに「全従業員の物心両面の豊かさを追求するためにある」と、
そういう物心両面の豊かさという言葉を作られました。

それが当社の手帳の20ページに載っています。
経営基本方針というところに
従業員の物心両面の幸福ということが書いてあります。

会社は働いている人と家族の幸せを実現するためにある。
仕事を通してお客様に喜んでいただくことで、
お客様から感謝され、利益が上がる。

利益が上がることで、従業員の待遇をさらによくし、幸せを実現する。
そして利益を出すことによって社会に貢献できる。
プラスのスパイラルです。

ですから、ドクターリセラでも稲盛さんの考え方に共感して、
会社はなんのためにあるのかということで、働いている人と家族の
幸せを実現するためにあるとここに明記しています。

物心両面をもう少し細かくいうと、
物心両面の物とは簡単にいうとお金です。

給与、賞与、物質的なものは大事です。
給与は高い方がいいし、賞与も多い方が良いです。

ですからそのためにはお客様に喜んでもらう、
お客様に喜んでいただければお役立ちが上がる。
お役立ちが上がれば私達の給与も上がるし賞与も上がる。

私達はお客様に喜んでもらうことを一生懸命考える。
ということが「価値ある仕事」であり、お客様に喜んでもらうことです。

物心の物はそういうことですが、心とはなんでしょうかというと、
心とは、稲盛さんが常々おっしゃっているのが、
心を高めるということをおっしゃっています。

人生の目的とはなんですかということになると、
心を高めるということで、仕事とはなんですかというと、
仕事を通して自分を磨くということを
稲盛さんは著書の中でも書かれています。

仕事を通していろんなことがあります。
ときには理不尽なことをお客様に言われたり、
あるいは合わない上司、部下、同僚がいたりします。
これは磨かれるためです。

結婚も実はそうで、結婚も磨きあうためにあります。
嘉藤さんの結婚式で僕がスピーチし「夫婦は砥石の関係にあるんですよ」と
言ったのを嘉藤さんは覚えていてくれてるんですが、お互いが磨きあうためにあります。

心を高めるというと抽象的かもしれませんが、
ドクターリセラの言葉でいうと積善の人づくりというのが経営理念にあります。

では具体的にどういうことかというと、人に親切にするとか、嘘をつかないとか、
当たり前のことなんですが、そういったことをすることが自分の心を高めるということ。
稲盛さんは利他の精神とおっしゃっています。

自分より他人。
ドクターリセラにはそこをアレンジした
自喜利他という、僕の作った造語があります。

これは中野裕弓さんの教えが入っていまして、
まず自分が満たされることによって周りにいい影響を与える。

健康も、自分が健康でないと他の人に「健康が大事ですよ」といえません。
健康もそうですし、美もそうです。

自分が肌がボロボロなのに他の人に「肌は大事ですよ」と
言っても「あなたがちゃんとしたら?」となります。

まず自分が満たされることによって他の人を満たす
自喜利他という言葉もありますが、そういう精神と
稲盛さんがおっしゃっているのは〔足るを知る〕という精神です。

なんで不幸を感じるかというと、欲があるからです。

これも考え方ですが、足るを知ることができると、
たとえば奥さんの作ってくれた食事に文句を言ったりしません。
食べられるだけ幸せです。

足るを知るということが自分の幸せになるということ、
当たり前のことを含めて高めていく、
物心両面の幸せの追求というのは、物も大事だし心も大事です。

その両面の幸せを追求していくことが会社を経営していく意味なのですよ
ということをおっしゃっています。

豊かさとは、物心両面で豊かになること。
その鍵は人であると、経営の3資源と言われるのが「ヒト・モノ・カネ」です。

ですから、もちろんお金も大事ですが、
人が一番大事ですよということです。

自分の周りに精神的な豊かさを提供できる人間を目指そうということです。

精神的な豊かさというと大きいことのように思えます。
しかし、これは親切な心、譲る心、結の精神などです。

そういったような考え方に通じると思うのですが、
与えられる人になろうという意味合いです。

物心両面の豊かさということを少し解説を加えて話をさせてもらいました。

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COLUMNIST
奥迫 哲也
ドクターリセラ(株) 代表取締役社長
一般財団法人 りせら財団 理事
奥迫 哲也
TETSUYA OKUSAKO
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「全日本全身美容業協同組合」理事長
「財団法人 日本企業構造改革機構」理事

1964年、島根県江津市生まれ。
1993年、29歳で漢方薬局を開業。
1997年に株式会社シードとして事業拡大、
2000年にはエステティック事業部を発足させ、エステ業界に参入。
安全で結果が見える化粧品をコンセプトに自社製品の開発に取り組み、
2001年アクアヴィーナスシリーズ、2003年ADSシリーズ、
2017年Recella Divaシリーズ、2018年cocochiaシリーズを発表する。
製品は全国のエステサロン3,203店舗(2024年2月末時点)を通じて販売し、業界初「これがないと困るスキンケア」調査開始以来全年連続1位にも選ばれる。また、「ベストアイテム」では3年連続受賞し、殿堂入りを果たす。

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